衛生管理者の受験資格は細かく16種類ありますが、全てに「労働衛生の実務に従事した経験を有するもの(=実務経験)」という文言が入っています。
全ての受験資格はコチラ(安全衛生技術試験協会のページにとびます)
「実務経験」が具体的に何を言うのか、自分が「実務経験があるもの」に当てはまるのか疑問に感じている人も多いのではないでしょうか?
本記事では、2020年に衛生管理者資格を取得した筆者が「衛生管理者試験の受験資格」と「職場内に有資格者がいない時に、どんな人が試験を受けるべきなのか」を解説します。
・私は衛生管理者の実務経験なしだけど、受験資格はない?
→幅広く「実務経験」と捉えられるので、受験資格ありとなる可能性が高いです。
・衛生管理者受験資格の「実務経験」とは具体的になんのこと?
→13の業務が定められています。
・衛生管理者の資格を職場で誰かが受けなければならない!誰がとるべき?
→労務担当者・現場の担当者に受けてもらうのがオススメです。
この記事を読んでいただければ、衛生管理者試験の受験資格や職場内で誰が受けるべきかがわかると思います。
衛生管理者の受験資格は多くの人が該当しますので安心してください!
詳しく解説していきます。

多くの人が受験資格あり!掃除なども含む「実務経験」の定義
衛生管理者資格を取得するために、「労働衛生の実務が必要だから、私は対象外か・・」と思うかもしれません。
これは「実務経験は幅広い業務」を対象にしています。
「労働衛生の実務」とは具体的には下記の13の業務です。
1.健康診断実施に必要な事項又は結果の処理の業務
2.作業環境の測定等作業環境の衛生上の調査の業務
3.作業条件、施設等の衛生上の改善の業務
4.労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備の業務
5.衛生教育の企画、実施等に関する業務
6.労働衛生の統計の作成に関する業務
7.看護師又は准看護師の業務
8.労働衛生関係の作業主任者としての業務
9. 労働衛生関係の試験研究機関における労働衛生関係の試験研究の業務
10. 自衛隊の衛生担当者、衛生隊員の業務
11. 保健衛生に関する業務
12. 保健所職員のうち、試験研究に従事する者の業務
13. 建築物環境衛生管理技術者の業務
「労働衛生の実務(13の業務)」は法令や受験資格の案内から読み解くことはできませんが、提出書類の「事業者証明書」に記載されています。
(私が実際に提出したもののため、黒塗りにしています。真ん中あたりに上記の13項目が記されています。)

13の業務を見ると不安になりますが、「3.作業条件、施設等の衛生上の改善の業務」は多くの人が当てはまると思います。
職場内の自分の身の回りの掃除や整理整頓の業務がこれに当たると解釈できますので、事業主が認めれば、これを「実務経験」としてカウントして問題ありません。
私も、特別な作業管理の業務などをしていませんでしたが、事業者からの承認を受けています。

基本的には、「大卒+1年の勤務歴」または「高卒+3年の勤務歴」があれば、受験資格があることになります。(正式な案内では「勤務歴」ではなく、「実務経験」と記載されていますが、事業主が認めた証明書を提出すれば問題ありません。)
自分に受験資格があるとわかったら、過去問をみることから始めましょう!

実際に、職場内で誰かが衛生管理者資格を取得しなければならないことがあるでしょう。そんな時、どのように受験者を決めればいいでしょうか。
事業主としては若い社員に受けさせたい
「職場内で誰かが衛生管理者免許を取得しなければならない。」
そうなった時には講習代や受験料がかかるので、これからも職場にいる時間が長い若手社員に受けさせたいでしょう。
あなたが会社から受験を依頼された時には、より若い社員を推薦してもいいかもしれません。あとは、他の分野の英語や簿記をあなたが実際に勉強しているのであれば、それを理由に断ってもいいと思います。
実際に「衛生管理者資格」を誰がとることが多いのでしょうか。
労務担当者か現場担当者が免許を取得するといい
労務担当者
労務関係の担当は勤怠管理や健康診断の業務をやっていることも多いです。
また、衛生管理者の立場として「労働衛生」の立場から指導を行うこともあるので、ある程度指導をできる立場の人がいいです。

現場担当者
現場にしかわからないことも多いです。例えば、換気が行いにくく、湿度が高い部屋だったとしても製造工程ではやむを得ないということもあります。
普段はその場所にいない「衛生管理者」がそのことを指摘しても、意味がないことも多いです(もちろん、外からの目線で指摘することも必要ですが。)。
そのような理由から、現場について詳しい人が衛生管理者となり、現場での実態に即した「労働環境」の提案をしていく。というのがいいでしょう。

試験科目が得意な人に受けてもらう
あとは、得意な人に受験させるという考え方もあります。主に3つの考え方があります。
人事・労務管理に詳しい人(私はこれに当てはまった)
関係法令では労働基準法に関する問題が出題されます。
年休取得に関するルールや労働時間の上限について問題が出されるので、普段から労務を担当している人ならば、常識かもしれません。
https://xn--8ey7wp5mr2e0qm.com/2020/05/09/horei
化学物質を実際に使っている現場の人
化学をしっかり勉強した人や現場の人でなければ、
・ベンゼン ・ベンジジン ・黄りんマッチ という物質を知らないでしょう(化学メーカーの人でも常識ではないんですかね?)。
https://xn--8ey7wp5mr2e0qm.com/2020/05/12/eisei-yugai
「生物」を勉強していた人
「労働生理」では人体についての問題が出ます。「高校生物」の範囲とかぶる部分が多いです。
中学理科の知識でなんとなくわかるものもありますが、高校生物までやっているとだいぶ有利だと思います。
血液がどう流れているかとか、目の組織はどうなっていてどの部位が光を感じるかなどですね。
https://xn--8ey7wp5mr2e0qm.com/2020/05/12/seiri
すでに得意分野がある人に受けてもらうのは一つの手ですね。
完璧主義者は向いていない
最後にこれだけは言えます!完璧主義にならないことが重要です。
全ての物質名を覚えるとか、法律の全文を覚えるとか、そういったことは衛生管理者試験では求められていません。
理由とか背景はいいので、とりあえず暗記する。過去問を解いて、出題傾向をつかむ。
この姿勢で勉強することが大事です。完璧主義者は時間がかかりすぎます。難易度はそんなに高くないので、効率的に勉強して一発合格を目指しましょう!


職場内で誰に受験させるか迷ったときの参考になれば幸いです。「実務経験」については職場の判断で柔軟に理由付けを行うことができます。