転職・就職で有利になる資格を探して、「衛生管理者」資格を調べている人もいると思います。
講習を受験させようと「衛生管理者資格が役に立つ」と勧めるサイトは多いです。
本記事では、2020年に衛生管理者資格を取得した筆者が、残念ながら衛生管理者資格が「転職・就職」にはほとんど役に立たないということをお伝えします。
・転職でアピールできると考えて「衛生管理者資格」をとろうとしている。
・「衛生管理者資格」を転職のアピールに使えないか考えている。
そんな方に向けた記事です。
この記事を読んでいただければ、「衛生管理者資格」が就職・転職では役に立たないことがわかります。
衛生管理者は「1 利益を生まない仕事」「2 現場経験がものをいう仕事」「3 簡単に取得できる資格」のため、企業から求められることはほとんどありません。(残念ながら)
衛生管理は補助的な仕事で利益を生まないため、求人がない
まず、転職で求められるのは即戦力です。
マーケティングや経理やシステム開発など、その人が加入することで会社の利益に大きく貢献する。そんな人が転職市場で求められています。
衛生管理者資格は「国家資格」ではありますが、利益を生む仕事ではありません。
職場の衛生環境が整備され、働きやすく、病気になりにくい職場ができるかもしれませんが、その効果がわかるのは何年も先で、少なくとも直接的な利益にはつながりません。
また、衛生管理者としての仕事は常にやるものではなく、週に数時間衛生管理関連の業務をする程度です。あくまで、補助的な業務なので、それだけが採用理由になることはまずありません(第1種も第2種も同様です)。
転職最大手のリクナビNEXTで求人を探すと「衛生管理者」を優遇する記載はありますが、内容を見ると有資格者にしかできない業務を専門にやるわけではなさそうです。
衛生管理に関する専門的な業務は「産業医」や「安全管理者」が担っています。

衛生管理は経験がものをいう仕事
衛生管理の業務は職場によって大きく異なります。
例えば、銀行の営業所内であれば、指摘できる内容は一般の人でもわかる程度のことでしょう。
【指摘例】
・地震で鉢植えが倒れてきたら危険なので、固定しましょう。
・2階への階段が急なので、手すりを設置しましょう。
・コロナ対策で1時間に1回は換気しましょう。
このような、一般的な指摘は資格を取らずとも、わかりそうです。
衛生管理者が本当の意味で活躍できるのは、工事現場や工場など、労働災害が起こりうる場所です。予め危険を察知し、安全な環境へ指導していくことに価値があります。
衛生管理者として、前の職場で活躍していても、新しい職場で巡視場所・扱う化学物質が変われば、指摘事項や仕事を行うのに適した環境も変わるはずです。
衛生管理者という資格よりも「その場所で何年も仕事をしていた人」の方が危険性や職場特有のリスク等について詳しいはずです。
【何年か勤めている経験者であれば】
・換気されていない状況でこの化学物質を使うのは危険だ。
・酷暑での作業は危険を伴うので、30分に1回休憩する。
・昨年、労災があったので作業手順を再度確認する。
このような指摘ができますが、全く同業種の職場でなければ、転職者がこういった指摘をすることは難しいでしょう。

衛生管理者資格は2.3ヶ月の勉強で取得でき、難易度が低い
衛生管理者資格は比較的簡単に合格できる資格です。
国家資格とはいえ、50人以上の従業員を雇用する職場には1名の衛生管理者を専任することになっています(有資格者が1名は必要ということです)。
法律に基づいて従業員に取らせなければならない資格なので、比較的簡単に取得できます。転職で職場に加えたいのは簡単な資格を保持している人ではなく、その人にしか出せない利益をもたらしてくれる人です。
難易度が低い理由はこちらの記事でも紹介しています。

転職には上位資格の取得をチャレンジするか、勉強の過程をアピールするか
ここまで、「転職の役に立たない」と言ってきましたが、「衛生管理者資格」が全く評価されないということでもないと思います。
頑張って仕事をしながら、その時間外に勉強をして資格をとった。また、社会保険労務士・労働衛生コンサルタントなどさらなる上位資格を視野に入れているとなれば、十分に仕事への意欲をアピールできるでしょう。
難関資格を目指すなら
「LECグループ」などの資格学校も検討してみてはいかがでしょうか?
また、衛生管理者資格取得に関連して、労務関係の業務に携わっていたとすれば、勤務経験としてプラスになるかもしれません。
資格取得の過程をうまく伝えることができれば、資格で得られた知識以上の価値があるかもしれません。
少なくとも今いる会社のボーナスや昇給の査定があるときには、頑張って勉強したことを積極的にアピールするといいでしょう。
転職を検討されるのであれば、
「リクルートエージェント」や「リクナビNEXT」、「ミイダス
」の登録から始めるといいと思います。

